Shopifyでのカゴ落ち・カート落ちの原因と対策5選を徹底解説
2024.07.01
想定読了時間 6 分出来るだけ手間なくすばやく売り上げたい。日々やることが多いネットショップ運営を行っている方すべての願いと言えるでしょう。
せっかくお店へ行ったのにあれを買い忘れた、迷っているうちに売り切れたなんて経験、どなたでもお持ちではないでしょうか。実際に、統計的にも約70%のお客様がカゴ落ちしています。
後ひと押しのお客様に「欲しがって商品、お忘れでは?」とプッシュして改めてお買い求めいただくのがカゴ落ち・カート落ち対策です。
そこで今回はShopify(ショッピファイ)における売上改善に即効性のあるカゴ落ち・カート落ちの対策をその原因とともにお伝えします。
また弊社では、Shopify制作代行・運用代行サービスを行っております。
制作だけではなくその後の運用サポートまで一貫してサポートしておりますので、Shopfiyに関して気になることがありましたらお気軽にご相談ください。
目次
カゴ落ち・カート落ちとは?それぞれの違いも解説
よく「カゴ落ち」と「カート落ち」で同じようなものとして使われているケースがありますが、それぞれの言葉の意味、現象は異なるものです。
そのため、本題に入る前にそれぞれの現象、違いを簡単に説明しておきます。
Shopify カゴ落ちとは
カゴ落ちとは、ネットショップ側のシステムエラー(カート機能上の問題)やお客様が何かしら事情により、最終的な決済まで完了まで到達せず、途中で離脱した状況を指す言葉です。
次にご説明する「カート落ち」よりも、恐らく広く一般的に知られている離脱イメージの言葉でしょう。
Shopify カート落ちとは
カート落ちとは、ネットショップにおいてショッピングカートに商品を入れたままで、サイトを離脱してしまうことを意味します。「カート放棄」と呼ばれる場合もあります。
つまり、「カゴ落ち」よりも更に手前で、決済フローの入力画面(メールアドレスや住所などの入力)までは到達しておらず、単純に商品をカートに入れただけという状態です。
Shopify カゴ落ちとチェックアウト離脱の違い
Shopifyでは、「カゴ落ち」に相当するものが「チェックアウト離脱」という表現で管理画面より確認ができます。(Shopify上ではバージョンアップにともなって「カゴ落ち」から「チェックアウト離脱」に表現が改められています)
先ほどご紹介した意味と同じく、購入手続きの途中で離脱することを指します。カートに商品を入れた後に購入手続きボタンをクリックして決済画面へと進みますが、この画面の手続き途中で離脱したもののみを指します。
なお、Shopifyの注文管理画面から、いわゆるカゴ落ちメールの配信対象となるのは、この「チェックアウト離脱」の方です。
一般的に馴染みの薄い言葉なので以降も「カゴ落ち」と表現しますが、Shopifyでの「チェックアウト離脱」の意味合いとしてお読みください。
カゴ落ちによる機会損失額
カゴ落ちとは商品をカートに入れたにもかかわらず購入手続きを完了しなかったこと。カート落ちと呼ばれることもあります。
このカゴ落ちによる機会損失額は平均して売り上げの約2.0倍〜3.3倍にものぼります。今の売り上げが2倍から3倍に労なく伸びたら…とちょっと想像してみてください。
「あとひと押し」で買ってくれたお客様が、そんなに埋もれていたと考えると非常にもったいない機会損失でしょう。
Shopifyのカゴ落ち率は?
基本的には、カートシステムによらずECでのカゴ落ち率は、約7割と言われています。(冒頭お伝えしましたデータです)
そのため、この7割のお客様にいかに購買してもらえるかが重要であり、売上インパクトとしてもかなり大きいものがあります。
そのため、タイトルにもあるように、このカゴ落ち対策の有無で売り上げは比較的早期に変わります。売り上げているお店ほど、カゴ落ち対策にしっかり注力しています。
そしてShopifyではカゴ落ちメールやクーポンの発行などカゴ落ち率の低減やCV率の向上に役立つ機能が数多く提供されています。
近年ではLINEの普及にともなって、メール以外でLINEやSMSなどでカゴ落ち通知をはじめとした様々な情報をお客様に届けるようになっています。(実際に効果もメールより数倍高いデータがあります)
Shopifyでのカゴ落ち確認方法・レポート
管理画面上で「注文管理」>「チェックアウト離脱」で進むと、カゴに商品を入れた後に購入手続きを途中離脱(チェックアウト離脱=カゴ落ち)したお客様を確認できます。
また同じく管理画面上で「ストア分析」をクリックするとダッシュボードが表示されます。ダッシュボードとはShopifyが集計しているストアの売り上げやアクセス数、コンバージョン率などのグラフィカルなレポートの一覧です。
この中でカートに追加済みやチェックアウト離脱のパーセンテージも確認できます。
このようにShopifyではストア分析レポートや、カゴ落ちメールやクーポンの発行など離脱率の低減やCV率の向上に役立つ機能が数多く提供されています。
では、次に離脱防止・カゴ落ち復活のための対策を見ていきましょう。
Shopify カゴ落ちの主な原因と対策
カゴ落ちの原因はお客様によっても様々ですが、主に以下のようなものがあります。
- 送料や税金が想定より高すぎる
- 支払い方法が限定されていること
- サイトの使いにくさ、複雑さ
- クレジットカード情報などの入力が面倒だと感じること
- 配送が遅すぎる・わかりずらい
- カート内の商品が思っていたよりも高額と感じる
- セキュリティーに対する不安や、個人情報の漏洩のリスクを感じる
- ページの読み込みが遅いため、ストレスを感じること
- 別のことをするため単純にサイトから離脱
- 返金規定がない・不透明 など
このようにカゴ落ちの原因はさまざまですので複数のアプローチが必要です。次に、いくつか打ち手をご紹介します。
Shopify カゴ落ち原因①「迷いが生じた、単純な買い忘れた」
対策:メール・LINE・SMSなどで、買い忘れや迷いにひと押しの内容を送る
購入ボタンを押す直前に「やっぱりどうしよう」と迷ったことのある方は多いでしょう。特に商品が高価格であればあるほど迷いが生じやすいもの。
そして「ひとまず後で考えよう」と思って離脱したが最後、忙しく過ごすうちに2度とその商品のことを思い出すことはなかったなんてこともあるでしょう。
そんな買い忘れにはShopifyに標準装備されているカゴ落ちメール送信機能を活用しましょう。Shopifyでは手動はもちろん設定をすれば自動で送信することもできます。その設定についてご紹介します。
Shopifyでのカゴ落ちメール送信設定方法
管理画面左下の歯車アイコンから設定画面に移動し、「チェックアウトとアカウント」をクリックすると、縦長ページの中程にある下記画像のような項目でカゴ落ちメールが設定できます。
- 「決済未完了の通知メール」を自動的に送信するか否か
- メール配信先をカゴ落ちしたお客様すべてか、メール購読者のみに絞るか
- カゴ落ち後、何時間に送信するか
基本的には上記3つの赤枠の項目をチェックするだけで基本設定は完了です。
とはいえ送信する文章は既定のものそのままでは効果が期待できないため、工夫をした文面にすることをおすすめします。内容がイマイチの文面ですとショップの印象を悪くする場合もあります。
かといって一度離脱したお客様にいきなり長い文面を送っても逆効果ですので、あくまで「お忘れではありませんか?」といった内容を簡潔に、併せてショップの想いやクーポンなどの販促訴求をするような内容をお届けすることをおすすめします。
一般的にはテンプレートの文面に謝意を書き足し、ショップのロゴ画像を加える程度でも見栄えは大きく変わります。
例えばメールのカスタマイズ画面から以下のような形に整えます。
カゴ落ちメールからはワンクリック程度で決済手続き画面に戻れますので、買い忘れのお客様にとっての手間も大きく省けます。
ちょっとした工夫で印象も利便性も変わるので是非とも手を加えておきましょう。
カゴ落ちメールは何時間後が最適か?
多くの統計データより、メール配信はカゴ落ちの1時間後が最適です。
基本的には24時間以上経ってしまうと極端に購入率が下がることも分かっており、個人的には複数回、例えば1時間後、24時間後にそれぞれ少し内容の違ったメールを送るのが良いと考えています。
最近ではLINEと連携をしてカゴ落ちメール以外にも、お気に入り商品の値下げや在庫切れ前にLINEで通知を送るということもできる様になっており、その効果はメールの数倍というデータもあります。
そのためには、Shopifyの会員情報とLINEの友だち情報を連携するID連携というアクションが必要になってきます。今多くのサイトでそのID連携を積極的に促しているのがこのためです。
Shopify カゴ落ち原因②「送料や税金、手数料が想定より高い」
対策:商品代金以外の費用は可能な限り抑え、必要に応じて商品代金に盛り込む
私自身、法外に思える送料・手数料設定に気づいて直前で購入を思いとどまった経験が幾度かあります。特に越境ECの場合などは送料が想定以上に高いことも多いでしょう。
その場合に、送料や手数料は実費に近い価格設定にしたり「×円以上購入で送料無料」といったディスカウントをお客様へわかりやすいく伝えたり、可能であればすべて商品代金に最初から盛り込んだ価格設定にするのも一つの手です。
楽天やAmazonなどモール型ECでは集客面で利点があるとはいえ、出店料や手数料も割高ですが、Shopifyでは出店料や売上に対する手数料はかかりません。(決済手数料のみ)
さらにネットショップを自社運営する最大の強みは、お客様情報を自社の資産として蓄積していけることです。
ECから縁遠かった事業者さまには案外知られていませんが、モール型のネットショップでは原則これらの顧客情報はモール側の所有物となり、各ショップがそこにアクセスできることが禁止されています。
一方、Shopifyではお客様にメルマガ等の形で直接、情報を発信していき、関係値を深めていくことも可能です。
お客様一人ひとりへの商品の魅力をお届けして自社のファンになっていただき、長いお付き合いをしていくためにも、顧客情報はとても大きな財産となります。
Shopifyではショップのブランディングを確立させながらも値下げ合戦を回避し、臨機応変な立ち回りをとることが可能です。
お客様との関係性を築くことで長く愛され、何度もリピートしていただけるお店となることを断然おすすめします。
Shopify カゴ落ち原因③「個人情報・決済情報の入力が手間」
対策:自動入力決済手段の拡充・クーポンなどによる訴求
今はブラウザ自体にフォームの自動入力機能が備わっているので住所や電話番号などの登録も比較的、手間なく短時間でおこなえます。
とはいえネットショップを使い慣れないお客様にとっては、日ごろEC運営側には簡単なことがハードルとなって購入を諦めてしまうこともあります。
例えば、「購入へ進む」ボタンを押したものの、そこでの入力項目の多さにめんどくさくなったり、クレジットカード情報の入力を手間に感じたりと、決済をその場で完了しないことも多くあるでしょう。
このようにちょっとしたハードルを越えていただける工夫が作れるかどうかもネットショップ成功の分かれ目となります。では、ショップ運営者側として何ができるか?
まず利便性を高めるという観点では、自動で入力情報を補完してくれる決済手段を拡充することができます。
一般的なクレジット決済はもちろん、最近ではAmazonPAYの利用率もかなり増えており、その他にもApple PayやPayPalのようなもので、既にお客様が自身の情報を登録されている決済手段で、それを利用する決済方法です。
また、Shopifyではできない部分もありますが、決済フローを簡易的にできるカートシステムもありますので、できる環境であればそのあたりもインパクトがあります。
その他にもクーポンというお得をベネフィットとして提示することで、多少の手間を乗り越えていただけたりもしますので、ひとつの有効な手段です。
例えば、初回購入者限定という形でかつ期間も限定しディスカウントするクーポンを発行をすることで、腰の重いお客様に「いま買うべき理由」も提示できます。
このような工夫によって購入意欲を喚起していけば、登録の手間をクリアしていただくことも可能でしょう。Shopifyでは下記のような設定画面で簡単にクーポンを発行できます。
Shopifyでのクーポン発行方法
- 管理画面の左サイドバー「ディスカウント」クリック後に右上「ディスカウントを作成」からディスカウント設定を新規に作れます。
- 最初の画面では商品、注文、配送、いずれの単位で割引するか、あるいは特定商品の購入でプレゼントをするか、といった4種の中からディスカウントタイプを選びます。
- 次にディスカウント方法を「クーポンコード」か「自動ディスカウント」から選択します。(「自動ディスカウント」を選ぶとお客様はコードを入力しなくて済みます。)
- 更に割引率や割引額、商品の割引の場合は対象商品や対象となる商品グループ(コレクション)、ディスカウント対象となるための購入金額や数量の設定ができます。
- 下にスクロールすると、ディスカウント対象とするお客様を全員、特定の個人ないしセグメント(「未購入のお客様のみ」など規定のグループ、ないし任意に分けたグループ)から自由に設定できます。
- また最大ディスカウント回数、他ディスカウントとの組み合わせ可否、そして肝心の有効期間を日時単位で設定すれば、クーポンの設定は完了。
あとはメールマガジンやブログ、SNS等でお得なクーポンのお知らせをするだけです。
クーポンを発行によって、お得感をわかりやすく演出し、見込みの高まってきたお客様が購入に踏みきるきっかけを積極的に作りましょう。
その他にも、ネットショップの自社運営は不特定多数のいちげんさんに商品を売るよりも、自社の魅力を打ち出してファンになって頂けることをゴールとした時に、商品にまつわる情報を日々発信することで、少しの手間では離脱しないようなブランドとしての魅力を高めるイメージです。
例えば、Shopify上でも簡単に利用できるブログやメルマガがありますし、もちろんShopifyと連携もできるInstagramやFacebook、Twitterなどで商品の魅力や日々の運営状況を発信するのも良いでしょう。
商品の売りはもちろん自社が打ち出すビジョンや価値観、商品開発者やメンバーの人柄などが伝われば必ずご縁のあるお客様が集います。
Shopify カゴ落ち原因④「都合の良い決済手段がない」
対策:Shopifyで実装可能な決済手段の拡充
運営してみると気づくことですが、世の中には非常に様々なお客様がいらっしゃいます。
ここまで普及しているクレジットカード決済ですが、中にはクレジットカード情報を入力するのはセキュリティ的に怖い、あまり無闇に登録をしたくないと考えるお客様も存在します。
そういったお客様向けに別の決済方法を提示できれば売り逃しもなくなります。そしてShopifyには、数多くの決済手段が用意されています。
クレジットカード決済はもちろん、ApplePayやAmazonPayもデフォルトで装備されており、決済アプリを追加することで、その他にもPayPayやメルペイなどのスマホ決済、ペイディーなどの後払い決済など様々な決済方法が追加可能ですので、できるだけ充足させることが重要です。
また「〜Pay」といった聞きなれない名称の支払い方法がずらりと並んでいると、それだけで億劫になってしまうお客様も高齢者を中心として存在します。
その意味では客層によって、あえて決済手段をしぼるのもひとつの方法です。そこでお支払い方法の簡単なガイドとなるページを別途もうけておくのは見落としがちですが案外、重要なポイントです。
別途かかる手数料なども明示しておくことであとあとのトラブルを回避できますし、決済手段に迷った方に適した支払い手段をわかりやすく提示できれば、ショップに対する信頼感もアップします。
せっかくご縁のあったお客様が無事購入手続き完了まで至れるよう、ユーザ目線をしっかり見据えた導線設計を考えましょう。
決済方法の詳細は、こちらの記事でも紹介していますのでご覧になってみてください。
Shopify カゴ落ち原因⑤「心配・不安」
対策:心配・不安になる点は事前に明示しておく
お客様はネットでの購入の際にはやはり色々なことを心配したり、不安になったりします。
ネット販売がかなり普及している昨今ですが、やはり実店舗のお買い物と比べると伝わらない情報も多く、対面でないという漠然の不安もあるでしょう。
そこで一般的にお客様が不安に思われる観点や実際に自社にご購入前のお客様からお問合せがきた観点などを、購入までにお客様の目に触れるようにページを作り、必要に応じて導線を設計すると良いでしょう。
例えば、とあるショップの購買行動を分析したい際に、一定数のお客様が特定商取引が記載されているページや運営会社のページを閲覧していることが分かりました。
ここから推察されることとして、「そもそもどこの会社が販売しているのか?」「信頼に足る会社が販売しているのか?」「何かあった際のメールや電話番号は確認できるか?」など、購入リスクを回避するためにしっかり確認した上で購入されているのだと思います。
その他の情報についても、例えば商品ページやトップページなどに記載することができるものであれば、積極的に情報追記することで不安に思われる点はかなり少なくなるでしょう。
Shopifyでのカゴ落ち対策におすすめのアプリ・ツール
お伝えしてきましたカゴ落ちメール配信の方法として、標準装備されているも意外にも、例えばShopifyのアプリ「Klaviyo」を使用すれば、送信時間を指定したり、メーリングリストを自動でセグメント分けして、お客様の好み等に適した内容のメールを細かく送り分けることもできます。
そのほか定評のある「Privy」「abandoned cart recovery」などのカゴ落ち対策アプリがあります。これらはメールのデザインなどをより自由度高く設定できます。
ただし、いずれも海外製のアプリとなりますので使いこなすには一定の学習や慣れを要します。まずは基本的な標準機能で十分だと思いますので、それらの機能を活用し、分析・改善を繰り返して効果検証を実施し、必要に応じて導入を検討してみるとよいでしょう。
また、昨今はこのあたりの対策をLINEを活用するのが非常に重要で、メールと比べても数倍の効果を発揮するというデータもありますので、ぜひ活用してみてください。
おすすめアプリの紹介記事でもご紹介したLINE連携Shopifyアプリ「CRM PLUS on LINE」がおすすめです。ShopifyFlowを活用して、様々な条件に応じて自動で配信ができるので、業務効率化の観点でもかなりおすすめです。
総括|Shopifyでのカゴ落ち・カート落ちの原因と対策5選について
以上、Shopifyにおけるカゴ落ち対策をお伝えしました。お客様のセグメント(年代や性別、趣味嗜好の方向性、購買行動履歴など)によって、よりこまやかにメールを送り分けたい場合は、それらをより簡便に管理できるアプリの利用もおすすめです。
まずは基本機能でできることを実践しながら分析・改善を繰り返し、効果を見た上で手早くバージョンアップしていけるのもShopifyの大きな魅力のひとつです。
少しでもできることを行なってみて、今よりも売上UPにつながることを願っています。