楽天市場の二重価格とは?反映表示問題と最適な活用方法について解説
2024.07.01
想定読了時間 5 分本記事では、以下のような悩みや疑問をもっている方に向けて解説します。
- 楽天市場で商品を販売しているけど二重価格について詳しく知りたい
- 楽天市場を始めたいけど価格表示のルールが分からない
- 楽天スーパーセール中はどのように価格表示されるのか知りたい
楽天市場など大手の通販サイトでは、正規価格から割引された価格が表示されていて、お得に感じて購入した経験がある方も多いでしょう。
正規価格と割引価格が同時に表示される仕組みが、楽天市場では「二重価格」と言われています。
ユーザーにお得に感じてもらうために活用される「二重価格」の仕組みですが、楽天市場でどのようなルールが決められているのか把握できていない方も意外と多いです。
二重価格は問題が多く、場合によっては法律に違反している可能性もあるため、活用する際には注意が必要です。
そこで本記事では、楽天市場の二重価格と起こりうる問題、景品表示法など法律などについて解説しますので、ぜひ一通りのルールだけでも把握しておきましょう。
また弊社ではECのプロによる楽天運営サポートや楽天広告運用代行・運営代行サービスも行っておりますので、楽天運用でお困りの方は是非一度お気軽にご相談ください。
目次
二重価格とは何か?定義と具体例
それでは、楽天市場の二重価格について解説します。
楽天市場の二重価格とは?
二重価格とは正規料金の下に割引金額を表示する仕組みで、今商品を購入するとどれだけお得なのかが感じられやすいメリットがあります。
- ①正規料金6000円のイヤホンが、割引価格で3000円で購入できる
- ②正規料金4000円のイヤホンが、割引価格で3000円で購入できる
上記であれば、①の方がお得感があり商品が購入される可能性が若干高くなる可能性があります。(あまりに価格差があるとそれはそれで怪しいので、最大でも50%前後が良いでしょう)
楽天市場などの通販モールサイトは掲載されている商品点数が多く、二重価格などでユーザーにお得感や今買うべき理由を伝えて購入を促すのが1つの販売施策であります。
楽天市場での二重価格問題の発生原因
二重価格はユーザーにお得感を与えられる施策の1つですが、この二重価格によって問題が発生しています。
元々3000円で売りたい商品を、正規価格であえて10000円と表示して3000円で販売するというケースが多発しているというものです。
そのため、同じような商品を正規金額を提示して販売している企業が、あえて二重価格で販売している企業に負けてしまうという事象が起きました。
二重価格問題の法的背景:景品表示法との関係
それでは、二重価格が法律的な観点でどのような問題があるのか解説していきます。
景品表示法における二重価格の扱い
景品表示法という法律では、「商品のサービスや価格が実際よりも著しく有料であることや有利であると誤認される様な表示を禁止する」と決められています。
二重価格は法律では問題ありませんが、実際の商品価値よりあまりにも高い販売料金を提示することは禁止されています。
これから二重価格で商品を販売するのであれば、販売したい価格から少しだけ高い料金を提示するのか、そもそも原価率を上げて販売価格を安くするのか対策することでユーザーに商品のお得感を与えることが可能です。
楽天市場の違反事例と法的影響
楽天市場では二重価格を使った違反が発生しています。
楽天市場の従業員が売上を増やすために、商品を販売している企業に不当に商品の通常販売価格を吊り上げて割引率を上げたら良いと伝えました。
これによって消費者庁が動き、楽天は独自で社内調査を行うまでに発展しています。
関連:https://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/646239.html
企業の法的責任と対応
商品の販売者に通常販売価格を吊り上げるように指示した楽天市場は、消費者庁から厳重注意を受ける形になりました。
- 楽天が提出した再発防止策(営業倫理委員会の設置、監査体制の強化)を着実に実施すること
- 調査結果について社内の周知徹底を図ること
- 社内で景品表示法についての理解を深めてその遵守を徹底すること
また楽天市場だけでなくAmazonでも同様の事件が発生しており、消費者庁から処分を受けています。
関連:https://news.tv-asahi.co.jp/news_economy/articles/000026053.html
楽天市場での価格表示ルールと種類について
上記の経緯もあり、楽天市場は二重価格の法律に違反しないように、価格表示ルールを設定しています。
それでは、価格表示のそれぞれの種類について解説していきます。
楽天市場の価格表示の規定
楽天市場で二重価格を表示する際に、ルールで決められた「当店通常価格」や「メーカー希望小売価格」などを通常料金として表示しなければいけません。
当店通常価格
それでは、楽天市場の当店通常価格の価格表示の条件と禁止事項をまとめています。
当店通常価格とは、一定期間に楽天市場内で販売されていた価格になります。
【表示条件】
・直近2週間でその価格での販売実績があり、かつ、以下のいずれかにあてはまるものであること
・過去8週間のうち合計で4週間その価格での販売実績があること
・販売期間が8週間未満の場合、合計で販売期間の過半かつ2週間以上の販売実績があること
【禁止事項】
・同一の商品を複数登録し、そのうち一部の商品の販売価格を、同時に販売する他の同一商品の販売価格より高く設定した上で一定期間掲載したのち、その商品の価格を下げることによって、あたかも値引きをしたように見せかけること(これが一番よくある違反です)
・ある商品が掲載されていた商品ページの内容を別の商品のものに書き換え、あたかも当該商品の販売実績があるかのように見せかけること
・断続的に全会員向けの商品別クーポンを発行し、楽天会員であれば誰でも当該商品をクーポンによる値引き後の価格で購入できる状態であるにもかかわらず、クーポンによる値引き前の価格を当店通常価格として表示すること
・消費税込の価格を消費税別の価格に変更する、送料込の価格を送料別の価格に変更するなど、価格設定や取引条件を変更することによってあたかも値引きしたかのように見せかけること
https://ichiba.faq.rakuten.net/detail/000006830
メーカー希望小売価格
メーカー希望小売価格は、メーカーによって新聞広告・カタログ・WEBサイト・商品本体などに表示されている価格を指します。
楽天市場でメーカー希望小売価格を表示するには、指定されているルールに沿ってメーカー希望小売価格が設定されているという証拠を掲載しなければいけません。
エビデンスを提示する際は、下記のどれかを選択する必要があるので覚えておきましょう。
・メーカー希望小売価格はメーカーサイトに基づいて掲載しています
・メーカー希望小売価格はメーカーカタログに基づいて掲載しています
・メーカー希望小売価格はメーカー広告に基づいて掲載しています
・メーカー希望小売価格はメーカー商品タグに基づいて掲載しています
またメーカー希望小売価格を表示する際は、下記の禁止事項があるので注意が必要になります。
・卸売業者が定める参考上代等メーカー希望小売価格といえない価格をメーカー希望小売価格として表示すること
・同一の商品といえない商品価格との比較をおこなうこと
https://ichiba.faq.rakuten.net/detail/000006830
※新品と中古品、純正品と互換品など、同一の商品といえない商品価格と比較することはNG
商品価格ナビのデータ参照
商品価格ナビのデータ参照は、証拠などなく二重価格文言を設定できます。
商品価格のデータ参照を行うために、下記のコードの設定が必要です。
・JANコード・・・日本工業規格(JIS)に定められている、商品識別番号の一つ。
・ISBNコード・・・ISOで規格化された書籍に統一的に付与される識別番号。
・EANコード・・・ヨーロッパ諸国での流通で用いられる商品識別番号の一つ。
・UPCコード・・・アメリカ・カナダでの流通で用いられる商品識別番号の一つ。
・楽天オリジナルコード・・・上記をいずれも持たない製品のために楽天が独自に発行したコード。
また禁止事項は下記になります。
・エビデンスをご用意いただく必要はありませんが、JANコード等に紐付く価格データがない商品については、 二重価格が表示されません。
https://ichiba.faq.rakuten.net/detail/000006830
楽天スーパーセール期間中の価格変動と反映問題
楽天スーパーセール期間は、多くの商品が割引価格で販売されているため、多くのユーザーが楽天市場に流れてきます。
実際に楽天スーパーセール期間は商品が売れる可能性も高くなるため、できるだけ購入されるように対策した方が良いでしょう。
そこで、スーパーセール期間中の価格変動と反映問題について解説していきます。
セール期間の価格反映時間の遅延問題
セール期間は価格反映が遅延してしまう問題が発生することがあります。
システムの都合で価格反映されるまでに時間が掛かるケースもありますが、二重価格で表示している金額が正しいのか判断するために価格反映時間が遅延しているケースもあるようです。
これからスーパーセール期間に商品を販売する場合は、しっかりと正当な表示価格が設定できているのか確認しましょう。
スーパーセール期間の適切な価格設定とは
スーパーセール期間の適切な価格設定は、ライバル企業を参考にすることをおすすめします。
取り扱っている商品によって売れる金額が変わるため、同ジャンルの商品が売れているライバル企業を参考にすると良いでしょう。
楽天市場のスーパーセールに来るユーザーは、商品の安い価格に魅力を感じているため、できるだけ割引した方が売れる可能性は高くなります。
しかしながら、あまりにも安く設定すると二重価格の違反などに繋がるため注意が必要です。
総括|楽天市場の二重価格とは?反映表示問題と最適な活用方法について
本記事では、楽天市場の二重価格や価格表示ルールなどについて解説しました。
二重価格は商品のお得感を出す戦略として有効ですが、法律に違反するなどの可能性もあるので注意が必要です。
- 当店通常価格
- メーカー希望小売価格
- 商品価格ナビのデータ参照
楽天市場では上記の3つのルールで通常販売金額が決められます。これから楽天市場で商品を販売するのであれば、ルールに沿って運営しましょう。
違反を続けると点数が下がり商品が販売できないなどのトラブルに繋がるため注意が必要です。