Amazon 食品カテゴリで売上を伸ばす3つの方法
2024.07.08
想定読了時間 6 分食品を取り扱っている事業者の方より、以下のようなお悩みをよく耳にします。
- 「Amazonに食品を出品したけどなかなか売上が伸びない」
- 「楽天では売れているけど、Amazonでは売れない」
- 「これからAmazonに出品したいけど、食品が売れるのか不安」
本記事では、そんなお悩みをお持ちの方へ、食品ジャンルでもAmazonで売上を伸ばす方法をお伝えします。
筆者は、10年以上Amazonを含むECモールの運営・コンサルティングを行い、現在も店長としてAmazonで食品を販売をしております。
食品ジャンルにおいても、中小規模から大手事業者まで幅広く売上に貢献してきた経験から、少しでもお役に立てる内容を発信したいと思いますので、是非最後までご覧ください。
また弊社ではECのプロによるAmazon運営サポートやAmazon運用代行・運営代行サービスも行っておりますので、是非一度お気軽にご相談ください。
目次
Amazonで食品が売れないと思われている理由
まずAmazonで食品ジャンルで売上を確実に上げるために、Amazonで食品が売れにくいと思われている理由、実際にユーザーが他のジャンルと比較して買っていない理由を理解しましょう。
そもそもEC業界全体において、2021年のEC化率は全体で8.78%に対し、食品・飲料、酒類は3.77%と、食品自体EC化率自体が、他の分野に比べてまだまだ低いという状況があります。
ではAmazonの食品についてはどうでしょうか。Amazonで定期的に開催されているタイムセールで、飲料品・レトルト食品・カップ麺などのいわゆる「型番商品」をよく見かけます。
一方、地方の名産品・嗜好品・お取り寄せグルメ・ギフトとしての食品などはどうでしょうか。
Amazonでもそのような地方の名産品などの「オリジナル商品」を購入することはできますが、Amazonで購入したことがない、または楽天市場などのAmazon以外のモールでしか購入したことがない、というユーザーが多いのではないでしょうか。
では、なぜ食品をあまりAmazonで買わないのでしょうか?まずは考えられる理由を挙げてみましょう。
1.Amazonで食品が買えるとことを意外と知らない
飲料品やレトルト食品、備蓄品などを箱買いすることはあっても、そもそもAmazonでギフト向けの食品や嗜好品を買うことができるということを知らなかった、またはそのような発想がなかった、というユーザーも多いはずです。
そのようなユーザーは、Amazon内でそのような食品の商品ページに辿り着けていないということがいえます。
商品を検索する前から購入する商品が決まっている、いわゆる「目的買い」の場合はしょうがないと思うかもしれません。
ですが、Amazon内の検索結果の上位に表示されていたり、ランキングの上位に入っていれば、少なからず興味を持って商品ページを見てもらえる可能性はあります。
2.商品の品質が心配
Amazonを利用するメリットとして、「価格が安い」という点があります。
Amazonの仕組み上、ひとつのカートボックスに複数出品者が相乗り出品できるので、価格が安い出品者の価格が表示されるようになっているからです。
しかし、このような「価格が安い」というイメージがあることにより、かえって商品の品質が心配になる方も多いです。
また、Amazonが楽天市場や他のECサイトと異なる点として、以下のようなことがあります。
- 商品情報(画像、商品説明文)が少ない
- 店舗情報が分かりにくい
- ひとつの商品ページで複数出品者が同時に販売している
商品の状態や鮮度が良いものなのか、ギフトの場合は梱包状態が良いものなのか、といった不安点が、Amazonは他サイトよりも大きいのが実情です。
3.配送状態が心配
配送に関するAmazonのメリットとしては、以下のような点があります。
- プライムマークが付く商品は基本的にAmazonからの発送のため、注文から配送までが早い
- Amazon登録プライム会員になるとお急ぎ便、お届け日時指定便が無料
- Amazonからの配送の場合「置き配」が指定できる
出品者がFBA(フルフィルメント by Amazon)を利用することにより、Amazonから直接購入者の手元に商品が発送されます。
しかし、Amazonから直接発送されることにより、食品の場合はどのような状態で届くのか、賞味期限はどうなっているのか、ギフト商品を購入する場合は配送状態がどうなっているのか、などの心配点もユーザーにとっては多いのではないかと思います。
食品でもAmazonで売れる3つの方法
それでは、Amazonで食品の売上を上げる方法とはどのようなものでしょうか。これまでお話してきた、Amazonで食品を購入しない理由をひとつひとつ払拭することが重要です。
どのように解決するべきなのか、ポイントをお伝えします。
1.Amazonでアクセス(セッション数)を増やす
Amazonで食品を買うきっかけがこれまでなかったユーザーは、あくまでもきっかけがなかっただけなのです。
つまり、Amazonでも食品を買うきっかけ作りをするために、とにかくAmazon上で目に触れてもらう必要があり、そのためには、Amazon内でのアクセス対策を行うことが重要です。
基本施策として、以下のような項目にSEO対策を意識してキーワードを盛り込むことで、まずはアクセスのベースを上げていきましょう。
- 商品名
- 検索キーワード
- 商品の仕様
特に、検索キーワードは商品ページ上では見えない項目ですが、検索にヒットしやすいように登録できる項目です。検索キーワードを登録していない出品者も多く存在しますが、対策しない手はありません。
※注意点として、商品ページ上にキーワードを羅列したり、関連性がないキーワードを入れてしまったりすると、規約違反になったり結果的に検索順位が下がってしまうということもあります。
また、アクセス対策として一番手っ取り早いのは、Amazon内検索広告「Amazonスポンサープロダクト」での露出です。
Amazonスポンサープロダクトとは、クリック課金制(CPC)の広告です。商品(ASIN)ごとに簡単に設定ができ、Amazon内検索結果や商品ページに、設定した商品を掲載することができます。
以下のように「スポンサー」と表示されている商品は、スポンサープロダクト広告が設定されている商品です。
関連したキーワードで検索した際に表示させたり、Amazon内の特定の商品をターゲティングし、自社の商品を他社商品の商品ページに表示させることも可能です。
どの商品から手をつけたら良いのか分からないという場合は、転換率が高く全体平均よりアクセスが低い、という商品から対策することをおすすめします。
Amazonの商品別実績は、ビジネスレポートより確認することができます。
ASIN別>詳細ページ 売上・トラフィック>CSVをダウンロード
ビジネスレポートの見方は、セッション数で降順に並び替え、ユニットセッション率(コンバージョン率)が低い商品を確認します。そこでアクセス対策をすることで売上が伸びやすい商品を見つけることができます。
Amazonでアクセス(セッション数)を増やすことにより、自然検索順位も上がり、購入に繋がればランキングの順位も上がってきます。
今回は主に食品についての内容に言及しておりますが、すべてのジャンルで共通するAmazonの売上UPに関する内容については以下の記事でかなり具体的に解説しておりますので、よろしければ併せてご覧ください。
2.商品ページを改善し、ユーザーにとって心配な点を無くす
Amazonで「商品の品質が心配」だと思うユーザーに購入してもらうためには、商品ページで心配な点を無くすことが重要です。
例えば、食品の場合は、味や成分、サイズや重さが分かる情報、届いて配送箱を開けた時のイメージ、生産者の顔、などの品質がイメージできる情報を登録することにより、オリジナル商品でも購入に繋がります。
Amazonの商品ページは、楽天市場など他のモールと比べて簡易的な商品ページに見えますが、その中でも以下のようなユーザーにみられやすい項目に情報をしっかり盛り込みましょう。
①Amazon 商品画像
Amazonの商品画像は、メイン画像1枚+8枚、合計9枚の画像を登録することができます。Amazonの規約上、メイン画像は背景色が白の画像を登録する必要がありますが、2枚目以降の画像は白抜き画像である必要はありません。
特に、スマートフォンで商品ページを閲覧する際は、商品ページ上部に商品画像が配置されています。画像だけを見て購入に繋げられるか、ということを意識した魅力的な画像や、情報量が多い画像を登録することで、転換率の向上が見込めます。
また、食品の場合は「シズル感」を意識した画像・シーン画像(イメージ画像)を用意することも良いでしょう。思わずポチっと購入してしまうような商品画像を登録し、転換率を上げていきましょう。
②Amazon 商品説明(商品の仕様)
「商品の仕様」はスマートフォンであればカートボックス下、商品ページ上の真ん中部分に表示される、テキストのみの項目です。
画像よりもテキストの方が目に入りにくいですが、細かい商品のスペックや購入の決め手となる情報を記載することによって、購入の後押しとなります。
③Amazon 商品紹介(Aプラス)コンテンツ
商品紹介コンテンツ(Aプラス)は、商品ページ下部にある画像付きの説明文を登録できる項目です。
商品説明だけでは頭に入ってこないような情報など、画像+テキストで説明することにより、転換率アップに大きく貢献できる項目です。
特に食品の場合は、「美味しいお召し上がり方」「保存方法」「調理方法」など細かい情報を用意することにより、購入後のイメージを掴んでもらうことが重要です。
3.食品でもAmazonFBAをフル活用
Amazonでの食品の販売は心配な点が多いかもしれませんが、そのようなことはありません。以下の3点を行うことで売上を伸ばし、多くのユーザーに商品を手に取ってもらいましょう。
①食品でもAmazonFBAをフル活用すること
Amazonで商品を発送する場合の配送方法は、大きく以下の2つに分かれます。
- FBA(フルフィルメント by Amazon)・・・Amazonの倉庫に商品を納品すると、その注文の受注、梱包、発送、カスタマーサービス、返品対応のすべてをAmazonが代行してくれるサービス。
- 出品者出荷・・・受注、梱包、発送、カスタマーサービス、返品対応はすべて出品者で行う。
FBAを利用することで便利なだけでなく、売上が上がる様々なメリットがあります。食品でもFBAを使用することができますので、FBAを利用するメリット・デメリットを挙げておきましょう。
FBAを利用するメリット
- 一度フルフィルメントセンターに納品してしまえば、梱包から発送、カスタマー対応までAmazonが対応(土日祝日も含め365日対応)
- 配送代行手数料は全国一律送料込み
- カートボックスを獲得しやすい
- プライムマークが付くため、転換率が上がる
- お急ぎ便、当日お急ぎ便など、Amazonプライム会員のお客様が無料で利用できる配送特典の対象
- 無料でギフトラッピング、ギフトメッセージに対応
特に、新規出品者の場合いつまで経っても「出品者」の表記となりカートボックスを獲得できずなかなか売れない、というケースがあります。
しかし、FBAを利用することで「出品者」の表記がなくなり、カートボックスを獲得できるケースが多いです。
また、ギフトラッピング・ギフトメッセージ対応してくれるというメリットもありますが、Amazonのギフトラッピング・ギフトメッセージはあくまでも簡易的なものです。
ギフト需要が高い商品を扱っている場合のおすすめ方法は、「ギフトラッピング済み」「手提げ袋付き」のような状態で販売し、商品名や商品説明、商品画像でも分かりやすく記載をする方法です。/
FBAを利用するデメリット
- FBAの手数料がかかる
- 食品や賞味期限(消費期限)がある商品は細かいルールがある
Amazonで販売し、かつFBAを利用する場合は、以下が手数料としてかかります。
- 販売手数料+FBA配送代行手数料+FBA在庫保管手数料
食品の販売手数料は下記の通りです。
- 商品1点あたりの売上合計が1,500円以下の場合は商品代金の8%
- 商品1点あたりの売上合計が1,500円を超える場合は商品代金の10%
FBA配送代行手数料、FBA在庫保管手数料は、商品サイズや重さ、保管日数によって金額も異なりますので、以下を参考にしてみましょう。
食品をFBAで利用するにあたっては、以下のような細かいルールがあります。
要期限管理商品
「要期限管理商品」とは、以下の2つが該当します。
- 食品全般
- 食品以外で消費期限の印字がある商品
食品は全般的に要期限管理商品として扱われるため、「要期限管理商品」の納品ルールを守って納品手配をする必要があります。
- 「要期限管理商品」ではない商品と同梱していない
- 期限の印字がある(食品は期限の印字が原則必須)
- Amazon到着時に消費期限まで60日以上残っている(特別申請している場合は30日)
- 消費期限の印字がはっきりと読み取れる(印字のかすれ、商品ラベルで隠れている などの不備に注意!)
- ASINごとに消費期限が同じである
要期限管理商品 FBA納品直前チェックリスト
夏季制限品
チョコレート、チョコレート菓子のような温度の影響を受けやすい商品は、事前申請をする必要があります。
夏季制限品として申請した商品は、特定のフルフィルメントセンターに納品を行い、夏期期間は購入者へクール便で配送されます。
賞味期限が短い商品をFBAで販売する
焼き菓子など温度管理の必要がなく賞味期限が短い商品は、消費期限が製造日から90日以下の商品であっても事前申請をすればFBAで販売が可能です。
FBA倉庫での受領時に30日以上の残存日数があれば販売可能となります。以下のリクエストフォームより申請を行い販売しましょう。
なお、冷蔵管理などの温度管理が必要な商品は、FBAで出品できません。冷凍食品については、基準を満たすことでFBAを利用できる場合もありますので、Amazonの規約を確認してみましょう。
以上のように、FBAはメリット・デメリットや制限がありますが、FBAを活用することはメリットの方が多く、売上を上げるにはかなり重要なポイントということが言えます。
Amazonの調査においても、FBAを導入した出品者様のうち、74.9%が売上増を実感している(2020年9月 Amazon調べ)とのことですので、最大限活用していきましょう。
補足として、食品の場合は出品制限があり、FBAを使う・使わないにかかわらず事前に出品申請が必要なカテゴリです。
出品手順は、「商品登録」で「出品許可を申請」をクリックして申請を開くと、出品申請ダッシュボードに下書きが自動的に作成されます。ダッシュボードから下書きを開き、要件を確認し、申請を提出しましょう。
②商品を受け取った際のイメージができるようにする
ユーザーにとって、Amazon・出品者からの出荷のどちらの場合でも、配送に関する不安はあるはずです。
- 「どのような状態で届くのか」
- 「賞味期限はどうなっているのか」
- 「ギフト商品の配送状態はどうなっているのか」
このような心配点を解決するためにやはり重要な点は、商品ページ上の商品画像・商品説明文でしっかりと説明をすることです。
前述しました通り、商品ページでユーザーに見られやすい以下の項目に、商品が届いた際のイメージ、賞味期限(具体的な日付、あるいは〇日以上など)、ギフト商品のイメージ画像など、できる限りの情報を盛り込んでいきましょう。
- 商品画像
- 商品説明(商品の仕様)
- 商品紹介(Aプラス)コンテンツ
また、商品によっても、ユーザーが気になる点は異なってきますので、実際に出品者宛てに届いたお問い合わせや、商品ページ上でカスタマーが質問できる「カスタマーQ&A」に投稿されている内容を参考にしても良いかもしれません。
注意点として、Amazonの商品ページは、あくまでも「商品に関する情報」のみを掲載する必要がありますので、配送に関する情報は規約違反とみなされる場合もあります。
商品パッケージの状態など「商品情報」として登録できる情報のみを登録するようにしましょう。
③FBAが使えなくても、短いリードタイム・お届け日時指定の設定で転換率を上げる
賞味期限が短すぎる、温度管理などの問題でFBAを使えない場合は、出品者出荷でも売れる方法があります。
ポイントとしては、以下の3点です。
- リードタイム(出荷作業日数)を1〜2に設定する
- お届け日時指定を有効にする
- 自社発送での安心感を商品ページ上で表現する
リードタイム(出荷作業日数)を1〜2に設定する
リードタイムとは、「購入者が商品を注文した時点から、出品者が商品を配送会社に引き渡すまでの所要時間」のことです。
営業日は換算されないため、土日が休業日の場合でも、リードタイムを「1」や「2」に設定することで、商品ページ上「在庫あり」の表記になり、最短のお届け日が表示されます。
リードタイムを3以上にすることで、「通常2~3日以内に発送します。」のように発送日数が長く表示されるため、急いで購入したい方は離脱してしまう確率が高くなります。
お届け日時指定を有効にする
お届け日時指定は、注文時に受け取りたい日時を指定できる設定です。リードタイムと同様に、希望通りに設定できない場合はそこで離脱されるケースもあるため、できる限り設定を行いましょう。
自社発送での安心感を商品ページ上で表現する
配送に関する情報は商品ページ上に記載することはできないものの、どんな梱包で配送されるかのイメージが付く情報を掲載することは有効な手段です。
例えば、「どんな化粧箱に入っているのか」「梱包材が使用されているのか」「箱を開けたイメージ」など、オリジナルの情報を入れることで安心感に繋がります。
総括|Amazon 食品カテゴリで売上を伸ばす3つの方法について
本記事では、食品カテゴリで売上を上げる方法についてお伝えしました。
Amazonにおいて食品のオリジナル商品は、しっかり対策をしっかり行わないと売れません。また、食品は出品制限もあることや、FBAのルールも厳しいため、出品へのハードルも高いです。
しかし、Amazonのルールを守り、基本的な施策をしっかり行うことにより、ライバルに差をつけて売上を伸ばせるだけでなく、Amazonランキングの順位を伸ばすことも十分に可能です。
「Amazonでも食品を購入できる」という認知を広げることにより、食品カテゴリに出品している事業者様、これから出品したい事業者様にとって、どんどん良いサイクルが生まれてくれば良いと考えています。
弊社では食品に限らずAmazonの運営、広告運用サポート、新規出品の立ち上げも行っておりますので、Amazonに関するご相談がございましたら、お気軽にお問い合わせください。